それから学校までの道程を、二人で歩いた。


すぐに学校に着いてしまわないように、なるべくゆっくり…。


クラスの話をしたり、変人で有名な科学教師の伝説話をしたり。


本当に他愛のない話をした。


一瞬…


ほんの一瞬だけ、まるで本当のカレカノになったみたいな気分だった。


それが幸せでもあり、残酷にも感じた。


そして思ってしまうんだ。


この時間が、ずっと続けばいいのに…


そんな叶わないことを。


そんな、最低なことを。


そして、実際にはすぐに終わってしまうもので。


校門でクラスのヤツに声をかけられて、俺はそこで瀬川と別れた。


「チョコありがとな。」


一言そう言うと、瀬川は満面の笑みで答えてくれて。


俺も自然と笑顔で返していた。