帰りぎわ、新しいノートやペンを買ってブラブラしていると、バレンタインの特集をやっていて、何となく近寄ってみた。
いらんなチョコが並んでる棚の前で、手にチョコを持ちながらうろうろしている女子高生がいた。
俺と同じ学校だ…
そんな風に思いながらさらに近づいてみると、その女子高生が一瞬こっちを向いた。
「あれ、瀬川?」
また振り返ったその子は、俺の思った通り瀬川で、瀬川は俺を見ると驚いたように目を見開いた。
「た、高野クン!?」
そんな瀬川にニコッと笑い掛け、手に持ったチョコに視線を送る。
「バレンタインのチョコ探してんの?」
「えっ?あ、うん。みんなで交換するから…。何がいいかな?って思って…」
あぁ、早飛にあげるんだ。
焦ったように返事をする彼女の様子からそう察した俺は、少し考えてから口を開いた。
「俺にもくれるなら早飛の好きなの教えてあげるよ?」
「えっ?あっ、いや、べ、別に今井クンにあげるってわけじゃないし!!」
慌てて否定する瀬川が何だかおかしくて、俺は思わず吹き出した。