「瀬川。」
「あ、じゃあね。」
塚田が瀬川に声をかける。
早飛がピクッと反応する。
コイツまた誤解してんな…
何でわかんねぇんだよ?
「はぁ…。早飛。塚田、彼女とは別れてねぇから。んで、瀬川とは何でもねぇから。」
俺がそう言うと早飛はまた顔をあげる。
「別にそんなん今さら関係ねぇし。塚田が誰と付き合おうと俺は口出しする気はねぇし。悪くも言わねぇよ。」
明らかに機嫌が悪い早飛を横目に、俺は呆れ返ってまた口を開いた。
「素直になったら?好きなんだろ?無理に諦める必要ねぇだろ?」
俺は早飛のために言ったつもりだった。
けどたぶん、それが逆に早飛を怒らせたんだろう。
「うるせぇな。もういいんだって言ってんだろ?」
早飛はウザそうに俺を睨みながらそう言い放った。
「じゃあ何でイライラしてんだよ?二人が一緒にいたくらい何だよ?いつまでも引きずりやがって。」
「てめぇーに何がわかんだよ?好きなヤツもいねぇくせに。」
“好きなヤツもいねぇくせに”
その言葉に無償に腹がたった。
「俺にだっているよ。好きなヤツくらい。何もわかってねぇのはお前だろ?」
そう言うと立ち上がり、俺はイラつきながら教室のドアを開けた。