ため息をつきながら、真っすぐ廊下を歩いていると、前から陽太が近づいてきた。


「おっ早飛、チョコ?相変わらずモテるねぇ〜」


ニヤニヤしながら俺の手を指差す。


「はっ?るせーな。つか、そんな欲しいならやろうか?」


「えっ?マジ?いいの?」


「うるせぇよ。何回も言わせんな。」


当て付けだった。


義理チョコならいらない。


ただ虚しかった。


「そっか。ま、本命からじゃなきゃ貰っても意味ねぇもんな。」


「お前、マジうるせぇー」


陽太の頭を叩きながら、俺はこっそりため息をついた。


何で義理なんだよ?


何で俺を好きにならないんだよ?


高野が義理チョコを貰っているのを見て嫉妬したくせに、実際に貰うと何で義理なんだって何か虚しくて。


やっぱ叶わない片想いなんだって思わされて。


ただ無償にムカついた。


もう最悪…


そう思いながら、俺は陽太の左手、その義理チョコを睨んでいた。