「はぁ…。早飛。塚田、彼女とは別れてねぇから。んで、瀬川とは何でもねぇから。」


頭の上から高野の声が降ってくる。


その声に反応して俺は頭をあげる。


「別にそんなん今さら関係ねぇし。塚田が誰と付き合おうと俺は口出しする気はねぇし。悪くも言わねぇよ。」


不貞腐れながらそう言うと、高野は呆れたように口を開いた。


「素直になったら?好きなんだろ?無理に諦める必要ねぇだろ?」


高野は俺を心配して言ってくれてるんだってわかってたのに、俺はその優しさが無償にムカついた。


「うるせぇな。もういいんだって言ってんだろ?」


「じゃあ何でイライラしてんだよ?二人が一緒にいたくらい何だよ?いつまでも引きずりやがって。」


「てめぇーに何がわかんだよ?好きなヤツもいねぇくせに。」


「俺にだっているよ。好きなヤツくらい。何もわかってねぇのはお前だろ?」


それだけ言うと高野は帰っていってしまった。