しばらくの間、その場から動けなかった。 今目の前で今井クンの手から桜井クンに渡ったもの。 それは間違いなく私の作ったチョコチップクッキーだった。 愕然として立ち尽くしていた私の手でストラップが揺れる。 二人の後ろ姿を見送ると、私はそれをギュッと握りしめ、教室に引き返した。