階段を下りて角を曲がるとちょうどそこに今井クンの姿があった。
「今井クン!!」
震える声でそう叫ぶと、今井クンはその場で立ち止まり振り返った。
「何?」
冷たい声でそう言われ、胸がズキッと痛んだ。
「あ、あの。これ。」
そう言って昨日作ったクッキーを差し出すと、今井クンは驚いたように目を見開いた。
「あ、あのね……い、今井クンには、あの…慰めてもらったり…助けてもらったりして……あの…だから……」
“好きです”
そう言おうとした瞬間、今井クンが口を開いた。
「あーそういうことね…なんだ……」
「えっ?」
私がきょとんとしていると、今井クンは私の手からきれいにラッピングされた袋を受け取った。
「わかった。ありがと。貰っとくわ。じゃ。」
今井クンが歩きだした瞬間、階段の影に隠れしゃがみこむ。
ダメもとだったから、受け取ってくれたことがすごく嬉しくて。
嬉しすぎて涙が出てきそうだった。