「コータローはいつも売店なの?」

「うん。親、働いてるからね。」

「あたしもー。あたしはたまに売店。」

物音や周りの声でうるさい売店内で、あたし達はいつもよりも大きな声で話していた。

「あれ?清田さんジュース買いだめ?」

コータローは、あたしの持っているジュースを指差していた。

「違うし。友達に頼まれたの。」

「な〜んだ。」

あたしとコータローが一緒にいるのをチラチラ見てくる一年生が何人かいたけど、今日は前ほど気にはならなかった。

会計を済ませたあたし達は、教室へと来た道を歩いていた。


「清田さん。」

コータローがふいに、階段の踊り場で立ち止まった。

「なに?」

「この前のメール…彼女いるかってヤツ。何で?」

真っ直ぐにあたしを見つめるその瞳に、一瞬ドキリとする。

少しの揺れも感じない、真っ直ぐな視線ーーー…。