「言えないよー浮気されたなんてさ。美羽も歳上彼氏は要注意だよ!」

愛衣が悔しそうに言った。

「私はみんなが羨ましいよ。私なんか彼氏が居たことすらないんだから…。」

ゆうちゃんが、愛衣とは違った悔しい気持ちを露(あら)わにしていた。

「よし、今度みんなでカラオケでも行こ!」

「いいね♪」

美羽の提案に、愛衣がすぐに返事をする。

思ったより元気そうで良かった…彼氏がいるあたしの方が元気がないくらいだ。

彼氏っていっても、高校生になってからは電話やメールがメインだけど。



そんなこんなで井戸端会議をしながら右手には熊手ーーー終了の合図があるまで、思いの外ハマってしまっていた。

「もう終わり?早くない?」

愛衣が汗を拭きながら、不満の声を漏らす。

「あたしはもう疲れた!お菓子食べたーい。」

「繭子、お弁当の間違いでしょ(笑)。」

「あはは!」

みんなに一斉に笑われて、その笑い声が青空に吸い込まれていくような不思議な感覚ーーー嫌な気持ちはしなかった。