「それはあたしの……。」

役目ーーーだったんだけどな。

「繭子?何か言った?」

「あ、何でもない。気にしないで。」

あたしはゆうちゃんに向かって、身体の前で軽く手を振った。

「どーせ彼氏の事でも考えてたんでしょー?」

「…。」

するどい愛衣の突っ込みに、あたしは何も言えなかった。

「わ、悪いー?」

恥ずかしくなって、少しだけつんけんしてみせた。

「悪くないけどー…あたし彼氏にフラれたばっかなんだよねー。あ、元カレかぁ……自分で言ってて泣けてくるし。」

そう言って愛衣は、今言ったことをなかった事にするかのように、熊手を持つ手を動かした。

「あたし全然知らなかった。元カレって大学生の?言ってくれたら良かったのに。」

美羽は知ってたんだ…あたしは愛衣に彼氏がいたことすら知らなかったよ。