”かわいいよ!”


「……うん。少し、しようかな。」

そう言ってあたしは、お菓子のかわりにポーチを取り出した。


ふとコータローの言葉を思い出したけど、別に…コータローなんか、関係ない。

上手くなりたいから、経験値を積むため。


そうしてあたしは、美羽の手も借りながら揺れるバスの中で何とか化粧をして、残りはウトウトと、バスの揺れに身を任せたーーー。



「あっつ……!」

バスから降りたあたしの第一声ーーー今日はよく晴れていて、まだ陽も昇りきっていないというのに5月とは思えない暑さ。

さっきまでの爽やかさはどこへやら。

「ホント暑いね〜。日焼け止めガッツリ塗って正解だね。」

あたしの後から降りてきた美羽が、その長い髪の毛を束ねながら言った。


バスから降りたあたし達は再び点呼をとるために集合、改めて簡単にルールの説明もあった。