まだ数回しか利用したことがない売店は、全学年の生徒や先生も来るため、少し緊張する場所でもある。

慣れた先輩たちにまぎれて、オドオドしてしまうあたし。

売店にあるものは早い者勝ちーーー騒がしいそこは、小さな戦場のようなものだった。


ジャラ……

それなのに…気づいてしまったんだ、その音に。

「……。」

そしてあたしと目が合うと、ふんわり笑顔で話しかけてきた。

「清田さんじゃん。今日もスゲー人だね。」

「そ…だね。」

音の正体は、もちろんコータローのアクセサリー。

とりあえず相づちをうったあたしだけど、気持ちを見透かされた気まずさから、早く立ち去りたかった。

カンだろうがなんだろうが、他人にわかってしまうくらい、あたしは態度にでているのだろうか…。


だとしたら、重症だ。

「ねぇ清田さんって、いつも売店に来るの?」

そんなあたしの気持ちなんかおかまいなしに、コータローは会話を続けてきた。