「やりたい事もやれない自分が、スゲーつまんなくて。」

「……。」

コータローのつまんない理由は、あたしのそれよりよっぽどちゃんとしていて、聞いていて自分が恥ずかしくなっていく。

アクセサリーをたくさんつけていたのは、自分自身を抑えつける為だったのかもしれない…。

「だけど、走っちゃうとダメだね。楽しい。バイトもあるし忙しいけど、陸上と両立してみようかな、って。」

コータローの瞳は、キレイに澄んでいた。

「あ、ごめんね、オレ自分の事ばっかりで。清田さんの話って何?」

「あ、あれはゆうちゃんが勝手に…。」

…あたしにくれた、チャンス。

ネガティヴでどうしようもなくて…裏切ったのにも関わらず歩み寄ってくれたゆうちゃんが、あたしに頑張れとくれた時間。

「あ…あたし……。」

「うん。」


「あたし、コータローにキツイこと言ったり、ゆうちゃんの気持ちを裏切ったりして……。」

「うん…。」

コータローは、静かだった。