「はい、終了。裏向けろー。」

先生の合図があって、シャーペンを机に置いてから答案用紙を裏返した。

次第に騒がしくなる教室ーーーあたしも肩の荷がおりた感満載で、ふぅっと息を吐いた。

「チャイムが鳴ったら、終わった生徒はすぐ教室を出る様に。いいな!」

先生も負けじと声を張りながら、答案用紙を回収して回っていた。


キーン…コーン……

「愛衣、駅前の本屋さんで待ってるね。」

「いいなー繭子。あたしも1教科だけだったらなぁ。」

「あはは。頑張って!」

1教科でも追試の時点で良くはないんだけどね。

あたしは愛衣と別れ、昇降口へ向かった。


昇降口に近づくにつれて、空気がどんどん暑くなっていくーーー7月も、もう終わりだ。

今日も、グラウンドからは運動部の練習する声が響く。

「…。」

その声の中に、コータローも居るのかな…。

風が吹き抜ける昇降口で、あたしは耳を澄ませ呼吸を整えた。