「……ゆうちゃん。」

名前を呼ぶ以外、言葉が出てこなかった…。

「…。」

「…。」

お互い言葉が見つからず無言で見つめ合う…。

「追試、何教科?」

「え?い、1教科…だけど。」

あたしが答えると、ゆうちゃんは何も言わずに去って行った。


「なぁに、ゆうちゃん。ヘンなの。行こ、繭子。」

「…うん。」

あたしは、ゆうちゃんに促されて教室に入った。

あたしの日本史と愛衣の数学は人数が少ないことから、追試は同じ教室で行う。

追試が始まるまで、あたしは愛衣と他愛ない話をしていたけど、頭の中はゆうちゃんの事を考えていた。


ゆうちゃん…何かを言おうとしたんじゃないかな。

この前の事もあって、ただの勘違いや自意識過剰じゃない気がしてるんだ。

「…。」

テスト中も、視界に入るゆうちゃんが気になって仕方なかった。