あたしも軽く手をあげて、2人の後ろ姿を見送った。

見送って、少しして、あげた手を見つめてから下ろす。

「…。」

電話の事、聞きそびれちゃったな…。


コータローとゆうちゃんは、今どんな仲なんだろう…。

あたしを好きだと言ってくれてたコータローだけど、とっくにゆうちゃんに気持ちが移っていてもおかしな事ではない。

気持ちは移ろいやすいーーー翔矢がいい例だし、あたしだって実際そうなのかもしれない。

今も好きでいて欲しい…なんて思う事が、都合良すぎることくらい解ってる。

あたしはいつでも中途半端で、コータローの気持ちにだって応えられないんだから。


キーン…コーン……

チャイムが鳴って間もなく、補習を終えた生徒たちがゾロゾロと歩いて来た。

「繭子!待っててくれたのー?」

その中の一人、愛衣があたしに気づいて駆け寄る。