そして、ゆっくりとあたしに近づいてくるけど、そのコータローから音がしないのは、今日は陸上部に参加しているから。

そんな事に、あたしのドキドキは加速していく。


「あ!木村くん!」

そのドキドキに突然急ブレーキをかけたのは、ゆうちゃんの声。

「…。」

「ゆうちゃん…。」

「私窓から見てたんだけど、休憩になってから居なくなっちゃって探したよ。」

「あぁ、暑かったから涼みに。」

言葉が出てこないあたしをよそに、2人で進んでいく会話。

「なぁんだー。」

嬉しそうに頬を染めて、コータローの方へ歩み寄るゆうちゃん。

コータローの事が今も好きなんだって、スグにわかる。

「もう休憩終わるから、オレ行くわ。」

「じゃぁ私も一緒に行っていい?」

「うん。じゃぁ…清田さん。」

コータローが軽く手をあげてから、あたしに背を向けた。

「じゃぁ……。」