席も適当、先生も普段の授業よりラフな感じだし、その空気が伝わるのか生徒達も真面目さに欠けていた。

もっとスパルタかと思ってたから、正直安心した。

「先生ー、追試って何点合格ですかぁ?」

1人の生徒が、先生に話しかける。

「今配ったプリントが出来ないようじゃ、合格は無理だぞ。」

「えーっ、マジすか?」

急に教室が騒がしくなった。

「みんな教科書と資料集は持って来てるよな?それを見てまずは解答を全部埋めること。30分後に答を配るから、ちゃんとやるんだぞ。」

先生の言葉で教室内は少しだけ静かになり、代わりに文字を書く音が聞こえ始めた。

「…。」

コータローからの電話、なんだったんだろう…。

あたしは教科書をパラパラとめくりながら、そんな事ばかり考えていた。

耳を澄ませば、コータローの音が聞こえてきそうで……。

プリントの答が配られるまで、あたしは静かにシャーペンを動かした。