「コータロー…なんで……。」

横断歩道を渡り終えたところで、立ち止まってしまったあたし。

「これからバイトだから。」

相変わらずの笑顔で答えるコータローに、あたしは不思議でならなかった。

バイトだから同じ道使ってるのはわかるよ、そうじゃなくてさ、何でいつもそんなフツーなの?何で何もなかったみたいに接してくるの?ってことだよ。

色々あったんだからさ、もう少し…こう、気まずくなってもいいんじゃないの?

「バイトばっかりしてない?テスト大丈夫だったの?」

「何とかセーフだったよ。」

コータローは、美羽に親指を立てて答えていた。

「意外と賢い人なんだね。」

「意外と、って失礼だし(笑)。てかオレ色々忙しくてさ、なかなか連絡できなくて…。」

そして美羽との会話を切り上げて、あたしに話題を振る。

連絡してなんて、頼んでない。

むしろ、連絡しないでって言ってあったハズ。