「あたし、繭子とコータローはくっつくと思ってたんだよねー。」

「なにそれ(笑)。ないからー。」

あははと笑って、思い出す。

「あ、青だよ。」

言いながら、美羽が横断歩道を渡り始める。

思い出すのはーーーあの日の、声。


”オレの好きな子って、清田さんだから。”


「……。」


”いつか好きになって(笑)?”

”清田さんはさ、もう髪の毛伸ばさないの?”


”もう少し、一緒にいて。”

あの日の事をキッカケに、次々と思い出される、コータローとの出来事。

シャラ……

「清田さん。」

ーーーこんなこと考えてるせいで、コータローの声が聞こえてきたよ。


「清田さん?」

「繭子?」

あぁほら、やっぱり美羽だ。

「なぁに?美羽。名字で呼ぶから一瞬誰かとーーー…。」


シャラ…シャラ……

「清田さん。」

空耳でも何でもなく、美羽の横には自転車に乗ったコータローが居た。