「あたしは……好きにならないから。」


「……。」

何かを言いたそうに見えたゆうちゃんだったけど、結局何も言わないままで、あたしはその場から離れて美羽が待つ方へ戻った。

「ゆうちゃんと話すなんて、珍しいね。何話してたの?」

「…って……言ったぁー。」

「え?なに?」

教室内がガヤガヤうるさいせいか、あたしが上手く話せていないせいかーーー言ったことは美羽には伝わっていないけど、あたしは何か大きなことを成し遂げたような気持ちで、脱力感に襲われていた。

「少し、こうさせて。」

あたしは美羽に抱きついて、深く深呼吸をした。

まだ、ほとんどのクラスメイトが教室内にいるけど、そんなことはお構いなし。

「…繭子、お疲れ様なんだね?」

その問いかけに頷いただけのあたしだったけど、美羽はポンポンと背中を優しく叩いてくれた。

やっぱり美羽は察しが良くて、対応も、ホント歳上みたい。