「駅でバイトの本もらって帰ろうかなー。」

「繭子いよいよバイト?あたしも、夏休みだけとか短期でやろうかな。」

昇降口を出て、歩きながら話すのはバイトのこと。

駅にあるバイトの本とは、ご自由にどうぞの無料のバイト情報誌のことで、ずっと気になっていたから。

コータローだってバイトしてるし、高校生だって働ける所は色々あるハズ。

「短期かぁ…いいね、それ。」

校門を出て、グラウンド沿いの道を歩いて駅に向かう。


「…あ。」

ふと目をやったグラウンドに、あたしは見つけてしまった。

「ん?何?」

美羽の言葉も届かない程、あたしの全てがその一点に注がれた。

コータロー……。

離れていてもよくわかる、そのキレイなフォーム。


決勝が近いのだろうか、陸上部のみんなと練習するコータローの姿があった。