そりゃ赤点とるよな、こんなんじゃ。


キーン…コーン……

「繭子ー、帰ろ?」

「うん。」

いつものチャイムが鳴り、いつものように美羽と教室を出る。

愛衣は一応部活をやっているから、居たり居なかったり。

いつもと同じ階段を下りて、昇降口へ向かう。

「…。」


変わったのは…。

たまに、あのへんの壁にもたれて笑顔で立ってたな……なんて思う、あたし。

ネガティヴなのは相変わらずだけど、翔矢と別れた事も受け入れられつつあるし、コータローの音があたしを揺らす事も…減っていた。

それでも、ゆうちゃんとの事がなかったら疎遠になる事もなかったのかな…とか、考えることもあって。


ぐちゃぐちゃと散らかったままの頭の中を整理するのに、学校やみんなと自然と距離ができる夏休みが迫っている事に、少しだけ感謝していた。