「はぁ〜っ、歌お歌お!」

愛衣が気分を変えようと、手をパンパンと叩いてみせた。

そこからは、歌いながらあれこれ食べ物をオーダーしたり、嫌な気分を吹き飛ばすように各々楽しんだ。

あたしは、部屋から漏れる歌声をコータローに聞かれはしないかと、少し緊張してしまっていた。

色々あって顔を合わせるのも気まずいのに、あたしって何なんだ…と思う。

そうして、ある程度歌って満足したあたし達、誰からというでもなくおしゃべりか始まった。


「そういえば繭子って、彼氏と仲直りできたの?」

「…。」

愛衣に痛いところを突かれて、返す言葉に詰まる。

「え?なになに?まだケンカしたままなのー?」


「…別れたんだ。」

言ってて、苦笑いしかできなかった。

「うそ…ゴメン。」

愛衣が美羽と目を合わせた後で、バツが悪そうに謝ってきた。