「昊太郎くん、ちゃんと教えといてあげなきゃ。あ、オーダー運んできていいよ。」

そう言って、コータローの腕にポンポンと触る店員。

「あ…ハイ、行ってきます。じゃぁ、みんな。」

あたし達に軽く手をあげ、コータローは…笑顔で裏手に入って行った。


受付を済ませたあたし達は、別の店員の誘導で部屋に案内された。

「何かあの女の店員カンジ悪くない⁈」

部屋に入るなり、愛衣が悪態をつき始めた。

「確かにね。コータローの友達でもお客じゃん、タメ口はないよね。」

いつもはたしなめ役の美羽も、珍しく愛衣の話に同調している。


”昊太郎くん”って下の名前で呼んでた……仲、いいのかな。

腕にも、触れたりしてたよな…。

気に入られてるんだろうな。

「…。」

あたしは、接客態度なんかよりそっちの方が気になって…それは、嫉妬にも似た気持ちなんだと、認めざるを得なかった。