だから駅の方に向かってるのか…。

「バイト何してるの?てかバイトならスタバ行けないじゃん。」

「うん(笑)。そこの道を少し行ったとこにあるカラオケ屋。今度来てよ。」

「オッケー、繭子も連れて行くよ!」

「ちょっ…美羽⁈」

さっきと全然言ってること違うし!

何勝手なこと言って……と、美羽に言おうとしたけど、あたしの口からその言葉はでてこなかった。

チラリと見たコータローが、やっぱり笑顔で……やたらカッコ良く見えたから。


「オレ行くわ、じゃぁね!」

「バイバイ。」

コータローと美羽が手を振り合っているのを、あたしは黙って見つめていた…。

コータローと関わるのは…色んな感情が混ざって、複雑な気持ちになる。

「…。」

コータローの音が聞こえなくなってから、あたしは誰にも知られないようにため息をついた。

コータローの事を考えると、ゆうちゃんの顔がチラついて……あたしは裏切り者なんだという思いが、頭の中で舞う。

ゆうちゃんの中では、あたしは裏切り者。

あたしの中の雪乃と同じ存在なのだろう…。