コータローの、真っ直ぐな言動を見習えたら…。

あたしは、静かにケータイを見つめた。

キスされた事も、もう遠い過去のように、そして自然なことみたいに思えた。

「…ッ……。」

ネガティヴなあたしは、コータローへの返信を迷いながら、翔矢とのこれまでのメールのやりとりを読み返し、また泣いてしまう始末。

少しでも好みに近づきたくて髪の毛を切ったり…少しでも可愛くなりたくて化粧を覚えたり……でももうそんな努力も必要なくなって、今まで何だったんだと虚しくなる。

雪乃とは…いつから……。

今になって、学校が別々で良かったなんて、都合のいい事を思ったりする。

中1の時から、他の人も目に入らないくらい大好きだった翔矢ーーー…。

思い切って告白した時は既に中3で……雪乃と3人で受験勉強もよくしたな。

あの頃に戻れたら、また…毎日幸せなのかな。

「…。」

でもあたしは、コータロー……あなたの存在も知ってしまったから。