「ふぅ…。母さん、荷物はここでいいか?」

「うん、ありがとう。さ、ゴハンにしよ。今日駅弁フェアやっててね、おいしそうだったから買ってきちゃった。」

「マジでー、あたし選びたーい!」

あたしは泣いていた事を気付かれないように、明るく振る舞った。

どうしたの?何かあったの?なんて言われては、また泣いてしまうから。

「お兄ちゃんは?ねぇ、どれにする?」

「おぅ…。てゆかよ、その紙袋の中身はアレか、全部母さんのか?」

お兄ちゃんは、さっきお父さんが置いた紙袋の数々を指差しながら言った。

「あら、大正解。もうすぐボーナス出るから、前倒し。」

お母さんは、満足そうな笑顔であたしとお兄ちゃんを見て言った。

「俺らには駅弁だけかよ。」

「お母さんだけズルーイ!」

「優一はいなかったし、繭子は行かないって言ったでしょ。さぁ食べよ食べよ!」

元気なお母さんに対して、荷物持ちをしていただろうお父さんは、疲れているのかスグに食卓の椅子に座っていた。