「おはよ、美羽、ゆうちゃん。」

スリッパに履き替えたあたしは、教室に向かう2人の後ろ姿を見つけ、声をかけた。

「おはよう繭子。」

「…美羽、私先に行くね。」

「え、あ、ゆうちゃん?ちょっと……。」

呼び止める美羽の声も届いていないような様子のゆうちゃんは、スタスタと早歩きで行ってしまった。

「美羽…ゆうちゃん、どうしたんだろう。」

「さぁ…。」

美羽も、よくわからないといった様子で首をかしげる。

ゆうちゃんは、あたしの顔も見ないまま、もちろん挨拶なんか返してもくれず、姿が見えなくなってしまった。


美羽と2人になり、教室へと向かう。

「昨日は色々あったね、繭子。」

「うん…。」

あたしは昨日の放課後の出来事を、美羽にメールで伝えていた。

「もうコータローの事はいいの?」