廊下から見る空はいつの間にか暗い雲に覆われていて、自然とあたしの歩く足を速めた。

「…。」

あぁ……。

昇降口の、この場所で立っている姿を、もう何回見ただろう…。

「清田さん。」

なんで……今日はもう会いたくなかったのに…。

「帰ろうとしたんだけど、靴箱見たらまだ靴があったから。」

「…ストーカーじゃん。」

「あはは。そうかも。だって清田さん、なかなか話してくれなかったから。」

そう言ってふんわりと笑うコータローは、悔しいくらいいつも通りに見えた。

「オレ、中途半端なことしてたから。きちんとしたくて。」

外からは、生ぬるい風が吹いてきていた……。

「迷惑なのはわかってるけど、オレは清田さんのことが好きなんだ。それ、きちんと知っててほしくて…。」

コータローは、いつだって素直でまっすぐだ。