「ごめん!何のこと?あ、あたし帰るね!行こっ、美羽。」

「えっ、待ってよ繭子!」

不自然でも何でもいい、とにかくここから離れたかった…これ以上、美羽の前でコータローと話せなかった。

あたしは急いで靴に履き替え、学校を後にした。


「ちょっと繭子…!待ってよ…!」

美羽を引き離しながら、どんどん歩くあたしーーー気づけば駅の前の横断歩道のところまで来ていた…。

赤信号で、美羽が追いつく。

「さっきの、どーゆう意味?何かあったの?」

美羽が、心配そうな、でも同時に何かを探るような視線を、あたしに送る。


”オレの好きな子って、清田さんだから。”


「ごめん…明日、話す。」

美羽には、もうごまかせない。

「わかったよ。じゃぁ明日は11時に駅前でいい?」

「…うん。」

それから美羽と別れるまで、美羽がこの話に触れる事はなかった。

こーゆうところも、大人だなぁと感じる。