「じゃぁね。バイト頑張ってね。」

駅について、軽く手をあげたあたし。

「ありがと!またメールするよ。」

シャラ…

そう言って、あたしに背を向けてペダルに足を掛けるコータロー…。

「あ、コータロー!」

「なに?」

「…あ、えっと……。」

呼び止めたはいいけど、実際は呼び止めた理由なんかなかった。

「ん?どうしたの?」

話すこともなくテンパってしまったあたしに、いつものふんわりとした笑顔を向けるコータロー。

「あの…。あ、そ、そうだ!今日、彼氏と会うんだけど…へ、変じゃない、かな、化粧トカ…。」

わーもぉ、なに言ってんだあたし。

シャラシャラ……

自転車から降りて、あたしの目の前まで来たコータローが、さっきの笑顔のまま言ったんだ…。

「清田さんは、かわいいよ。」