「大丈夫か?どっか痛い?」

そう言ってあたしに手を差し延べてきたのは田舎町には似合わないスーツを少し崩して着て、煙草を口に据えた男の人だった。

「……あ、頭…が」

「頭?頭痛か……。登校中、だよね?」

「は、い……」

男の人はあたしを見て腕組みしながらうーんと、唸れば何かを思い出したかのようにポンッと手を叩いた。

「青西の生徒さんだよね?」

「え、はい」

「わかった、学校に連絡しとくよ」

そこで一旦言葉を切った男の人はあたしの背中を優しく撫でながら携帯で電話をかけはじめた。おそらく学校に電話をしてくれているんだろう。なんていい人。でも何も言わなくても青西高生ってわかるとこといい、学校の電話番号がわかるところといい、この人地元の人なのかな?
よろしくお願いします、と言って電話を切った男の人は再びあたしに話し掛けてきた。

「この近くに病院ってある?」

「あります……」

「お、よかった」

あれ、病院の事知らないなんてやっぱり地元の人じゃないのか、なんてぼんやり考えていれば、彼があたしの目の前まで来てあたしをお姫様抱っこした。