そんな事を思いながら司会者の
指示を待っている時だった。


「皆様…今日のこの素晴らしい
ウエディングケーキは新郎様の
お父様でいらっしゃいますあの
有名パテシェ.麻倉直弥氏が
作られたケーキでございます。
新郎様には秘密だと言う事で
こちらのホテルで1週間かけて
お作りになられました。
どうぞ皆様…拍手を…。」


「はあっ?」


「旬…黙ってて.ごめんね。
お義父さんが私達の為に
作ってくれたんだよ…。」


「マジかよ…。」


俺は全然.知らなかった。


打ち合わせは殆ど梨子に
任せきりだったから…。


だから店が終わってから
ここ最近親父は家に居な
かったんだ。


てっきり飲みに出掛けてたん
だと思っていたのに…。


親父の方を見ると
テレ臭そうに笑っていた。


親父…かっこいい事
すんじゃねぇよ…。


やっぱ親父はスゲェよ…。


俺…親父みたいな
パテシェになりてぇ…。


俺にとって親父は憧れなんだよ。


親父…ありがとう。