みんなで分娩室の前で待つ。


時計の針の音だけがリズム
良くみんなの耳に届いてる。


「オギャ−オギャ−」


赤ん坊の泣き声が針の音を
掻き消した…。


産まれた。


産まれた…。


程なくして主治医の先生が
出て来た。


「おめでとうございます。
2800グラムの女の子ですよ!!
母子共に元気ですから安心
して下さい。」


おばさん達と梨子が抱き合
って喜んでいる。


俺はその場を離れて
非常階段に向かった。


なんでか涙が出てきて
止まらなかったんだ。


隼人…良かったな。
女の子だってよ…。


お前の子供が産まれたんだぞ。
お前パパになったんだぞ。
笑っちまうよ…お前がパパ
だってさ…。


俺は声を殺して泣き続けた。