〝平成○年度4月11日 古田中学校入学式〟
「今日からはここか…」
引っ越してきたばかりの町。
初めての中学校登校日。
「ほら、美百合。写真、撮るわよ。」
「え、撮るのかよ。めんどいな…」
「こらー、また口悪い。あと、笑顔でいなきゃダメでしょ?」
「はいはい、お母さん。それ、何回聞いたのやら…」
いやいやながら写真を撮った。
撮り終わると、すぐ昇降口へ私は向かった。
クラス分けの大きな紙、小さい文字。
「あった。3組か…」
「それじゃ、お母さんは体育館だから。ちゃんと笑顔でいるのよー?」
「はいはい。それじゃ、後で。」
下駄箱のところへ行き、靴を脱ぐ。
自分の下駄箱を見つけ、上履きへ履き替える。
(まだ、全然来てないじゃん…)
靴は自分の他に、まだ5足程しかなかった。
先輩に案内され、教室のドアの前まで来た。
ドアは閉まっている。
(開けたら、こっち見るよな…)
思い切ってドアを開けた。
やっぱり教室にいた人達が私の方を見た。
『なんだ、違うじゃん』みたいな顔をして、すぐ自分の席の机を見る。
皆は小学校が同じだった人が来るのを待っているんだろう。
(あった、自分の席)
私は誰一人知っている人はいない。
悲しくも思うがな。
あんなクラスメイトとまた一緒も嫌だから、別にいいんだ。
新しい友達をつくればいいんだから。
時間が経つにつれ、人は増えていく。
知らない人の中はツライな…
なんて話しかけたらいいのかが分からない。
私はずっと机とにらめっこしていた。
“つんつん”
後ろから背中をつつかれた。
振り返ると、後ろの席に髪が焦げ茶色でショートヘアの女の子がいた。
「あたし、愛。呼び捨てでいいよ!よろしくね」
少しざわついている教室の中。
初めて話しかけられた。
私は嬉しかった。すんごい嬉しかった。
「うん、よろしく。美百合って呼び捨てでいいよ」
「うん!あ〜、やっと一人目話しかけられた〜」
やっぱり、皆そうなんだね。
初めましての人に話しかける勇気がなかなか出ないんだよね。
私も誰か、一人でもいいから話しかけよう。
黒板に書いてある時間割を確認。
もうすぐで入学式始まるから、それが終わった後だな…
「はい、おはようございます!」
教室の前のドアが開いた。
そこから入ってきたのは、眼鏡をかけた色黒の天然パーマの男性。
すんごい笑顔だ。笑いジワまである。
「改めまして、おはようございます。」
『…おはようございます』
「はい!皆さんの担任になります、西城です。よろしくお願いします。」
声、大きくて元気だな…
第一印象はそんな感じだった。
一言でまとめれば、とにかく明るい人。
あまり怒らなそうな先生に見えた。
「それでは、入学式のことについて説明します。これから、出席番号順に廊下に並んで・・・」
西城先生、声大きくて頭痛くなりそう。
全く知らない世界の中だから、緊張しすぎて既におかしい感じあるし…
「はい。それではね、入学式のときに名前を呼ぶので、その場で立ってもらいます。」
『はい』
「なので、今から出欠を取るので、大きな声で返事してください。」
次々と名前が呼ばれていく。
飯田一馬、石田賢幸、伊東ひかる、宇沢姫菜…
男子18名、女子15名、合計33名。
小学校と比べると、かなり多いな…
全く知らない世界の中。
これから、私はどうなっていくのだろう…
そんなことを思いながら、入学式は終わった。
そして、教室に戻り、教科書等を貰う。
(なんだよ、この教科書の量…)
学校指定の黒と緑色のリュック。
入れるものが無く、空っぽだったところへ入れた。
結局、今日はこれで終わってしまった。
私は一人も話しかけることができなかった。
トボトボ歩き、学校の近くにある役場へ。
お母さんの車を発見したが、まだお母さんはいなかった。
「んだよ。鍵、持ってないんだけど…」
「今日からはここか…」
引っ越してきたばかりの町。
初めての中学校登校日。
「ほら、美百合。写真、撮るわよ。」
「え、撮るのかよ。めんどいな…」
「こらー、また口悪い。あと、笑顔でいなきゃダメでしょ?」
「はいはい、お母さん。それ、何回聞いたのやら…」
いやいやながら写真を撮った。
撮り終わると、すぐ昇降口へ私は向かった。
クラス分けの大きな紙、小さい文字。
「あった。3組か…」
「それじゃ、お母さんは体育館だから。ちゃんと笑顔でいるのよー?」
「はいはい。それじゃ、後で。」
下駄箱のところへ行き、靴を脱ぐ。
自分の下駄箱を見つけ、上履きへ履き替える。
(まだ、全然来てないじゃん…)
靴は自分の他に、まだ5足程しかなかった。
先輩に案内され、教室のドアの前まで来た。
ドアは閉まっている。
(開けたら、こっち見るよな…)
思い切ってドアを開けた。
やっぱり教室にいた人達が私の方を見た。
『なんだ、違うじゃん』みたいな顔をして、すぐ自分の席の机を見る。
皆は小学校が同じだった人が来るのを待っているんだろう。
(あった、自分の席)
私は誰一人知っている人はいない。
悲しくも思うがな。
あんなクラスメイトとまた一緒も嫌だから、別にいいんだ。
新しい友達をつくればいいんだから。
時間が経つにつれ、人は増えていく。
知らない人の中はツライな…
なんて話しかけたらいいのかが分からない。
私はずっと机とにらめっこしていた。
“つんつん”
後ろから背中をつつかれた。
振り返ると、後ろの席に髪が焦げ茶色でショートヘアの女の子がいた。
「あたし、愛。呼び捨てでいいよ!よろしくね」
少しざわついている教室の中。
初めて話しかけられた。
私は嬉しかった。すんごい嬉しかった。
「うん、よろしく。美百合って呼び捨てでいいよ」
「うん!あ〜、やっと一人目話しかけられた〜」
やっぱり、皆そうなんだね。
初めましての人に話しかける勇気がなかなか出ないんだよね。
私も誰か、一人でもいいから話しかけよう。
黒板に書いてある時間割を確認。
もうすぐで入学式始まるから、それが終わった後だな…
「はい、おはようございます!」
教室の前のドアが開いた。
そこから入ってきたのは、眼鏡をかけた色黒の天然パーマの男性。
すんごい笑顔だ。笑いジワまである。
「改めまして、おはようございます。」
『…おはようございます』
「はい!皆さんの担任になります、西城です。よろしくお願いします。」
声、大きくて元気だな…
第一印象はそんな感じだった。
一言でまとめれば、とにかく明るい人。
あまり怒らなそうな先生に見えた。
「それでは、入学式のことについて説明します。これから、出席番号順に廊下に並んで・・・」
西城先生、声大きくて頭痛くなりそう。
全く知らない世界の中だから、緊張しすぎて既におかしい感じあるし…
「はい。それではね、入学式のときに名前を呼ぶので、その場で立ってもらいます。」
『はい』
「なので、今から出欠を取るので、大きな声で返事してください。」
次々と名前が呼ばれていく。
飯田一馬、石田賢幸、伊東ひかる、宇沢姫菜…
男子18名、女子15名、合計33名。
小学校と比べると、かなり多いな…
全く知らない世界の中。
これから、私はどうなっていくのだろう…
そんなことを思いながら、入学式は終わった。
そして、教室に戻り、教科書等を貰う。
(なんだよ、この教科書の量…)
学校指定の黒と緑色のリュック。
入れるものが無く、空っぽだったところへ入れた。
結局、今日はこれで終わってしまった。
私は一人も話しかけることができなかった。
トボトボ歩き、学校の近くにある役場へ。
お母さんの車を発見したが、まだお母さんはいなかった。
「んだよ。鍵、持ってないんだけど…」