「おや、それは失礼。
確かに程度の低い人に私の言葉は、
悪いように取られるようだ。
まぁ、人種が違うようだから
仕方がありませんがね」

眼鏡を上げながらクスッと笑われた。

なっ!?

あまりの発言に言葉を失う。

「あなた。それは、あまりにも酷いわよ!?
小野木さん、睦月君…ごめんなさい」

茉莉華ちゃんのママが必死に止めて謝ってくる。

すると睦月君が私の手を取り

「……もうすぐ開演しちゃうよ」

そう言い早く行こうと急かしてくる。

「睦月君……」

「おや?もうそんな時間か。
無駄話をしてしまったようだ」

腕時計を見ながらそう言ってきた。

すると睦月君は、茉莉華ちゃんのパパに

「……おじちゃん。可哀想な人だね」

そう言い放つ。

「はぁっ?何だと!?」

眉を寄せる茉莉華ちゃんのパパに対して
睦月君は、ジロッと睨み返した。

そしてクスッと微笑んだ。

睦月君が……笑った!?

いや、笑ったと言うより
明らかに見下した表情に近い。

何より先生以上に怖かった。

「……っ!?」

あまりの怖さなのか
言葉を無くす茉莉華ちゃんのパパ。

睦月君は、それを気にする事なく私を引っ張る。

「あ、あの……失礼します」

引っ張られるがままその場を後にした。