「藤崎睦月……?
あぁ茉莉華を泣かした園児か」

ジロッとこちらを睨み付けてきた。

ビクッ!!

思わず動揺する。
でも、ビクついたらダメだわ。

睦月君は、別に
悪いことをした訳ではないのだし

「……はい。クローバ社の小野木涼花です。
よろしくお願いします」

負けじと頭を下げた。すると

「なるほどな。いかにも躾が悪そうだ。
盗み聞きといい……担当がそれなら
父親も大した事がなさそうだな」

はい!?

その言葉に目を丸くする。

「あなた……」

慌てて止めようとする茉莉ちゃんのママ。

しかし、茉莉華ちゃんのパパは、
それを無視して私と睦月君の前に来た。

な、何!?

「確か藤崎さんのお父様は、
ベストセラー作家の蓮見先生だとか?
私は、あのようなファンタジーや
ミステリーものは、
非現実的で読まないので
どんな作品かは分かりません。
いかにも程度の低い輩が読む
くだらない内容に思えまして」

「その上にテレビで観させてもらった
蓮見先生は、ロック系というか……いかにも
ヤンキーっぽい風貌で正直驚きましたよ。
シングルファーザーと聞きましたし
だから子供の躾がなっていないのだと
理解しました。
それなら、ウチの茉莉華を泣かすのも
分かると言うものだ」

人を見下したように言ってきた。

ひ、酷い……睦月君を馬鹿にしたのも
腹が立つけど
先生の悪口まで言うなんて

「あ、あなたに先生や睦月君の何が
分かると言うのですか!?
何も知らないのに
勝手な事を言わないで下さい。
失礼ですよ!?」

あまりにも腹が立ったため言い返した。

睦月君は、きちんと教育されてていい子だし
先生だってとても素晴らしい人だわ。

そんな2人を馬鹿にされて
黙っているなんて出来なかった。