「うん。茉莉華 頑張る!」
張り切る茉莉華ちゃん。
「そうだ。お前は、いずれいい大学を出て
俺の跡を継がないとならない。
こんな低俗ばかりの幼稚園で
躓いてはならないんだ。
それなのに……ここは、問題が多過ぎる。
やはりもう少しちゃんとした
幼稚園にするべきだったか」
「あなた……そんな言い方は…」
慌てて止める茉莉華ちゃんのママ。
なるほど。
やっぱり茉莉華ちゃんのパパの影響だったのね。
「この際…もっと強く抗議して
徹底的に幼稚園を変えさせてやらんとな。
まったく…だから低俗で馬鹿な人間は、
嫌いなんだ」
ちょっと…それは、あんまりだわ!?
そう思いながら見ていたら
後ろからグイッとスカートを引っ張られた。
「キャッ!?」
驚いて声が出てしまった。
引っ張ったのは、睦月君だった。
「あら、小野木さん。それに睦月君…」
ギクッ!!
どうしよう……気づかれちゃった。
慌てて振り返るとやっぱりこちらを見ていた。
「あの……おはようございます」
恐る恐る挨拶した。
「誰だ?」
「茉莉華と同じ組の藤崎睦月君と
お父様の担当編集者・小野木涼花さんよ。
あなた」
茉莉華ちゃんのママが代わりに紹介してくれた。