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私は手鏡で目が赤くなっていないかみて、大きく深呼吸をして目の前のレッスン室のドアを開けた。


「皆、お疲れ様。」


私はなるべくいつも通りを装って、明るい笑顔で皆に声をかけた。
皆は私がレッスン室に来るとは思っていなかったのか、驚いた顔をしていた。
でもすぐに皆は微笑んでくれた。


「……波瑠ちゃんこそお疲れ様!」


「波瑠にゃんは今休憩中だったの?」


「そう♪暇だったから屋台を回ってたんだよねー♪」


「凄い荷物だが……。」


「食べ過ぎには注意しろよなー。」


祥也くんと琉生くんは、やっぱりお母さんのような対応で私を心配してくれているよう。


「わかってるよ~。」


私もいつものように返事をする。