その夜、マリカはスウェルの部屋に居た。


「そろそろ君をオーレアの邸まで送らなければならない時間だけど、俺は送りたくない。
君の部屋にも送る気はない。

だけど、無理強いはしたくはない。
もどりたいところを選んでくれないか?」


「えっ・・・私は、朝稽古の後にはオーレアの邸にもどって支度をしなきゃ。
今夜は、私・・・どうしよう。」


「これをはめて・・・お姫様。
婚約指輪だよ。踊る前に渡せばよかったんだけど、人が寄ってきたら困るし、遅くなってごめん。
君が決めかねているなら、俺が命令しようかな。

この指輪だけ指にはめて、俺のベッドで朝までいっしょに居るんだ。
明日、化け物討伐に出ても悔いが残らないようにね。」


「あ、明日なの?!!」


「明日ってことはないと思うけど、近いうちだと思うよ。
オーレアはそのことで皇太子様たちと会議してるんだと思う。」


「そんな・・・急に。
それで、婚約なんて・・・そうだったの。
私も、覚悟しなきゃならない・・・そういうことなのね。」


「すまない。
結婚してからでないと・・・って君に言われたら今日の俺は君をもう襲っていたかもしれない。
いろんな事情がわかったきて、俺ももう限界でね。
マリカ、ここでは君は俺の奥さんだ。
おいで。」


「スウェル・・・。私、はずかしい。
だってこんなの、初めてだもん。」


「ほんっとに、君は、かわいすぎる!
もっとゆっくり知り合えるとよかったんだけど、そうはいかないんだ。
来週には、戦わなければならない。」



「そんな、早く?」


「この国で迎え撃つわけにはいかないからね。
魔力のある者がいちばん多くいる我が国が食い止めなければ、世界はいよいよ人間がエサになってしまう。
力のある俺がやらなきゃ・・・俺に勇気をくれないか、君の愛で・・・なんてな。
がらじゃないか、ははは。」


「ううん、私でできることなら言って。
治療班もがんばるつもりよ・・・でも、私はあなたに患者になってほしくないの。
みんなを指揮してるのが私の夫よって言いたいもの。」


「あーーーっ、戦闘になってからの話はおしまいだ!
マリカ、離さないからな。」


「あぅ・・・あん、スウェル・・・。」


カチッ・・・パチン!


「きゃぁああ!」


スウェルが右手の指をはじいて音をたてると同時にマリカは下着もシーツも肌の上にかぶっていたものをすべてはがされて、指輪だけはめた状態で一糸まとわない姿になった。

続いてスウェルがウィンクするとマリカが四つん這いの姿になってしまい、スウェルがマリカの体にからみついてくる。


「だ、だめぇ、こんなときに魔法使うなんて反則よぉ!
いやぁ・・・こんなのはずかしい。」


「とてもきれいだよ。
肌がなめらかでしがみつきたくなってしまうんだ。
魔法を使っても使わなくても主導権をとられるのは嫌だからな。」


「だって・・・朝稽古のときは・・・あっ、やぁ。」


「剣の練習はレディファースト。
今は稽古じゃないよ。
でも、君が望むなら、あとで君がしたいようにする時間をあげてもいい。」


「や、やだぁ・・・そんな・・・。」