しんとなる道路。


耳を澄ませば、喫茶店内の洋楽さえも聞こえてきそう。



その沈黙が、わたしをはっとさせた。


わたし……なんてことを。




「……結羽、ちゃん」




篠田先輩が困ったようにわたしを呼ぶ。


困らせたのもわたしだ。


こんなところで、あまりにも唐突に……。



頭を真っ白にしてパニックに陥っていると。





「ごめん、俺、彼女いるんだ」






優しい彼の、甘く低い声が。


わたしの心にナイフのように冷たく突き刺さった。