「んー、どうしたのあきくん？」
まるで小さい子をあやすように、自分の首に回された高槻くんの腕を撫でながら訪ねるゆうひさん。
「…………ごめん」
「何に謝ってるんだよー、謝られる筋合いないんだけど？」
「……でも」
「なーに？ あれ、もしかして泣いてる？」
ゆうひさんのからかうような声に、え、と思った。
あの高槻くんが泣くなんて考えられない……。
だけどわたしから見えるのは、彼の少し赤く染まった耳だけ。
でも、それだけでも普段の彼からは考えられない。
「……泣いてねーよ」
鼻声で答える高槻くん。
より強くゆうひさんを抱きしめたのは、見ているだけでわかった。
