侑心くんと向かったのはいろんな店が立ち並ぶ地下街。


坂場さんたちに雑誌を借りたりアドバイスを受けたりなどを繰り返して、だいぶおしゃれに興味を持つようになった最近はこういうところでも楽しめるようになった。



「あのコートとか、結羽に似合いそう」


「え、そうですか? 長身さん向けじゃないですかね……?」



そう言って店頭ディスプレイに惹かれるように店に入って、何も買わずに出て、を繰り返す。


きちんと休憩に、と喫茶店にも寄ってくれる。


そんな彼といる時間はとても楽しくて、永遠に続けばいいのになんていつも思ってしまう。




だけどその時、侑心くんの携帯が鳴った。



「侑心くん……着信はいってますよ」


「あれほんとだ、電話なんて珍しい……誰だろ」



ポケットから携帯を取り出し、相手を見る。