そうだ。



屋上で絵を描こうと思って、入ろうとしたら。


楓さんと高槻くんが話しているところで。



そしてつい、聞き耳を立ててしまった、その日だ。


その時のことだ。




「わ、わたし……は、部活で……その」




頭が真っ白になる。


盗み聞きしてたなんて言えない。



でもばれてしまっているのかな。


いるのだろうな、こんなこと聞くのだから。


いったいどうして。


急いで立ち去ったのに。



こんな状況下でもなんとか誤魔化せないかと必死で言葉を出そうとするわたし。



だけどそんな見苦しいわたしを見て、楓さんは吹き出すように笑った。