違う、そんなわけない。


そう自分に言い聞かせて、首を振った。



そして慌てて言葉をつなぐ。




「そ……それじゃあわたし、とりあえず人待たせてるんで……行ってきます」


「あ、うん! 行ってらっしゃい。一段落ついたら連絡して」




その言葉に小さく会釈して走っていく。


後ろからすぐに坂場さんの批判の声が聞こえた。


木林くんの返事は聞こえない。




……どうしよう。



頬が、緩む。




こんな気持ちは……初めてだ。



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