ど、どうしてわたしにそんなことを。


周りのたくさんの女の子の非難が聞こえないほどに心臓がうるさい。





きっと、認めたくないけれど……木林くんと回ったら楽しいんだろう。


こんな明るくていい人と一緒に過ごして楽しくないわけがない。



「……13時から、実行委員のほうは仕事がないんで……まわ、れます」




「ちょっと佐久間さん! 何言ってんの!? 本気で侑心の誘いうける気!?」



サキュバスさんが声を荒げて言ってくる。


……そりゃそうか。


文化祭での木林侑心の隣という名目のチケットはかなり高価なもののはずだから。





だけど彼はそんな坂場さんを片手で制して。



「ほんと!? よかった、これで少しは結羽を休められる」



なんて言って優しく笑った。