「けーんたー!俺らも混ぜろよー」

手を振りながらやってくるのは…

「おー!翔平!また同じクラスだな~、夏希も。」

……誰?いや、わかるわけ無いか。

「えっと、私…天寺永久です。よろしくっ!」

声が裏返ってしまった。恥ずかしさで胸がいっぱいになり、俯いてしまう。

「あはは、そんな緊張しなくていいのに。俺、神奈川翔平。健太の親友ー」

「あたし、高柳夏希。永久ちゃんっ、よろしくね!」

優しそうな瞳の翔平くんと、太陽みたいな笑顔が可愛い夏希ちゃん。健太くんとは幼馴染みなんだって。

「健太くんに翔平くんに夏希ちゃんっ!」

パッ!と顔を上げ

「わっ、私と…友達になってくださいっ!」

思いの外大きな声が出てしまい、クラス中から視線を感じる、

「何言ってんの、永久ちゃん。俺らもう友達だろー?」

「そうだぞ、天寺。」

「うんうんっ!当たり前だよ!永久ちゃんっ!大好きー!」

夏希ちゃんは私に勢い良く抱きつく。

「ふわぁっ!?夏希…ちゃんっ?苦し…っ」

身長的に、夏希ちゃんの胸に私の顔が埋もれてしまう。

「夏希、天寺が窒息死するぞ。」

翔平くん…顔が真っ赤だよ。…もしかして、翔平くんは夏希ちゃんの事…?

「あっ!ごめんね!可愛くてついっ!」

顔の前で手を合わせて謝る夏希ちゃん。

「ううん。大丈夫。私も嬉しいなぁ」

自然と口元が緩み本音で話すことができた。

「1-Bー!移動するぞー。」

と、先生が入ってきた。

「よっし!行くかー!じゃあまた後でなー」

2人と別れ、健太くんと並ぶ。

「健太くんって、思ったより小さいねぇ…」

…しまった。もしかしたらコンプレックスとかかもしれないのに。

「あっ!お前〜っ!いつか成長期が来て、見下ろしてやるからなー!」

凄い。自分の短所を笑いに変えられるなんて。

「ごめっ!私もチビだからなー。人のこと言えない。」

えへへ、と力なく笑う。

「別に?女の子はちっさいほうが可愛いと思うし、背高い人はモデルみたいだし。って、永久ちゃんモデルだったぁー」

「あっ!健太くんそれヒドイ!」

ぷくっとほっぺたを膨らませる。

「ごめんごめーん!……ブフォ!」

「ちょっとー!!!!」

そんな話をしている内に入場口についた。