看護士さんはしゃがむと、私の顔を見つめる。





そしてその指でわたしの涙をそっとすくった。






片方の手は握られたままだ。






そのことに安心して、私の涙は止まらない。




溢れては流れ落ちる涙。






至近距離でその顔を見て、改めて優しそうな人だなと思う。





優しい目を持った人だなと。





「看護士さんがあんまり優しいから泣けてきた」





そう言うと、一瞬間をあけて、看護士さんがあはは、と愉快そうに笑った。






「それくらいしか取り柄がないからね。一応こう見えてベテランだよ」