「あ、セイくん!」
屋上で寝転がっていると、聞こえた声。
僕は閉じていた目を開けて、顔だけ入り口へ移しました。
「……あぁ、おはようございます」
「…………」
彼女は風にスカートを靡かせながら、ボケッと突っ立っています。
「…どうかしましたか?
馬鹿な顔に拍車がかかって、馬鹿に見える上に能天気さも増していますよ?」
「……セイくんが、おはようって言った…」
「だからどうしました?」
「…今まで、おはようさえも言ってくれなかったのに…」
「…………」
確かにそうでした。
昨日、彼女の過去を聞いてなのか知りませんけど、
僕が彼女へ向ける気持ちが、変わったように感じます。
「もっと早くパパとママに会せれば良かったなぁ」
僕の寝転ぶ隣に座り、ニコッと明るく微笑む彼女。
その笑顔は、太陽よりも眩しく感じます。